歯周病と深い関係がある「細菌」

2016年03月3日 (木)更新

歯周病は感染症の病気です。つまりは、口の中に棲む細菌と密接な関係にあるいえます。口内には数多くの細菌が棲んでいますが、その代表格が歯周病菌です。歯周病菌にも種類があり、それぞれ害を及ぼす箇所や障害の内容が異なります。ここでは、歯周病の原因ともいえる歯周病菌についてご紹介します。

歯周病は感染症の一種

歯周病

口内には、数百種類の細菌が棲息していると言われています。口内の細菌は、善玉と悪玉の細菌に分かれますが、歯周病は、この悪玉の細菌が増えることで起こります。悪玉細胞である歯周病菌から排出される毒素が歯周組織に炎症を引き起こすのです。細菌に感染して炎症を起こし、症状の悪化が進んでいくという歯周病は、まさに感染症の病気なのです。

歯周病菌の種類

歯周病菌
歯周病の原因となる歯周病菌ですが、その種類は10種類以上存在することがわかっています。
●Porphyromonas gingivalis(P.g.菌)
歯肉組織に付着する細菌です。この細菌から出される毒素は、歯槽骨吸収(歯周病菌から逃げようとして、歯槽骨自ら溶けていく現象)をひき起こし、歯肉から膿が出たり、歯がぐらぐらする原因にもなります。
●Treponema denticola(Td.菌)
歯周組織へ定着するタンパクを持っており、この分解酵素により歯周組織に害を及ぼすと考えられています。
●Actinobacillus actinomycetemcomitans(A.a.菌)
歯肉組織に付着する細菌です。八卦級の働きを低下させる毒素をもっており、歯周組織に害を及ぼします。また、この細菌は組織の中まで侵入するといわれており、この菌が存在することで治療効果が現れにくいとされています。
その他に、 T.f.菌(Tannerella forsythensis)やP.i.菌(Prevotella intermedia)などがあり、P.i.菌に関しては、誰もが保有している菌です。しかし、口内環境が悪化すると歯周病を引き起こす原因になります。P.g.菌とTd.菌は、歯周病患者の60~70%から見つかります。一方、A.a.菌については非常に少なく、日本人でこの菌を保持していることは稀ですが、この菌から感染すると非常に危険といわれています。

免疫力低下にご用心

歯周病菌が増えることで、その毒素から歯周組織が炎症をおこしてしまう病気が歯周病ですが、ストレスや不規則な生活習慣などで身体の免疫力が低下してしまうと、たとえ菌が増えていなくても、歯周病に感染するリスクが高まります。歯周病は感染症ですから、原因となる細菌に負けないよう、免疫力を高めることも大切なことです。

歯周病が感染症であること、そして歯周病菌が複数種類存在し、それぞれ与える害が異なるということは、あまり知られていないかもしれません。これを機に、身体の免疫力を高めることで、歯周病予防につなげてみてはいかがでしょうか。